115人が本棚に入れています
本棚に追加
そう王子の戯言を切り捨てると、
「いいからそこ。窓開けて換気」
「あなたは空いてる酒瓶片付けて」
と、固まっていた周りの貴族の子弟数名に命じて、ディアは王子の周りに侍っていた女性たちを部屋から追い出しにかかった。
「ほら貴女方も。こんな 親の脛を齧っているようなダメ人間と付き合ってないで、もっと誠実な人をお捜しなさい」
顔はそのままだが、心持ち優しい声音で諭す。
一国の王子への評価としては随分であるが、王子は「ひどいな~」と笑うだけ。
「あの……でしたら、私は、ディア様が良いですわ…」
それを皮切りに、我も我もと美しく着飾った女性たちはディアへと言い寄ってくる。
部屋の片付けを命じられた男たちは、
「えっ」
と思わず手を止めて振り返った。
その間も、ディアは慣れた様子で、女性たちを扉の方へと誘導する。
.
最初のコメントを投稿しよう!