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貴族の子弟たちは羨ましそうな、恨めしそうな眼を向けてくる。
そんな彼らも、さっさと部屋から追い出した後。
「毎度毎度…お前こそ、それを改めたらどうなんだ」
王子は乱れた衣服を適当になおしながら、ため息を吐いた。
本人は気付いていないが、ディア目的で王子に近寄ってくる者も多くいる。仲を取り持てと言い寄ってくる娘たちを適当にあしらうのは大変なのだ。
なのに当の本人ときたら、人の苦労等いざ知らず。意図せずに毎回リピーターを増やしてしまう朴念仁である。
厄介この上ない。
「私の何を改めろと?そんなことより、まったく…酒臭い上に、強烈に香水臭いですよ」
「それはご婦人たちに言ってくれ。俺の香水ではない」
「自業自得でしょう」
王子に面と向かい、眉間に皺を寄せる者も、国中探しても、王とディアしかいないだろうことには、本人は気づいてないだろう。
近付くのも嫌そうな顔をするディアを見てそう思いながら、王子はディアの話す報告や今日の予定を聞いていた。
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