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「以上です。何か質問はございますか」
「ああ。お前って、何の香水使ってんの?」
「は?」
王子は訝しげに顔を上げたディアの胸ぐらを掴み、自分の方へと引き寄せた。
バランスを崩したディアは、咄嗟に手を出して王子の胸板に手を突いたが、そんなのお構いなしに抱きかかえられる。
「……………」
「また香り変えただろ。うーん…なんだ?男物でもないし、女物でもなさそうだな…」
ソファーに寝っ転がるようにしている王子がディアを抱え…見ようによっては抱き合っているように見えなくもない体勢のまま、王子は呟いている。
「……殿下」
「ん?」
「申し訳ありませんが、私には男同士で抱き合うような趣味はございません」
「…奇遇だな。俺にもない」
掴んでいた手を離すと、ディアはすかさず距離をとり、捕まれた襟元をなおす。
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