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「…チッ…」
不意を付くことはできたが、今回も、ディアの鉄仮面ーーあまり変わらない表情ーーを崩せなかった。王子は、次は何をしようかと新たな作戦を考え始める。
王子にとっては、子どもの時に出逢ってからずっと、この憎らしくも風変わりなディアとの時間が楽しみの一つであった。
「妹が作ってくれた物なので、私は存じ上げません。お気に召されたのでしたら同じ物を作らせましょうか?」
「私は二度と使いませんし」と付け加えることを忘れない鉄仮面に、王子は苦笑する。
「いや、いい…俺には似合わないだろうしな。それにしても、随分と嫌われたものだ」
「日頃の行いを考えて下さい」
ピシャリと返され、王子は肩をすくめるしかない。
でもまあ、コイツのことをよく理解してる妹なんだろうな、と王子は考える。
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