惑星ティーチューの準知的生物レンレイについての観察報告

6/11
前へ
/11ページ
次へ
 アイを動機として不平等な扱いを受けたレンレイは、そのアイに対して感謝しなければならない。  ただし準知的生物に過ぎないレンレイは、情動を科学的に測定する機器を発明していない。  そのアイの存在は、証明も反証も不可能である。  しかも、アイによる不平等な取り扱いは、アイを向けられたレンレイに利益を与えるとは限らない。  アイの結果が、単なる暴力や搾取や支配に過ぎない場合も多い。  すなわち、レンレイはアイの存在を科学的に立証することはできないし、アイによっていかなる行為を受けるかも明確に定められていない。  ここまで読んだ知的種族の読者は、次のような疑問を持つであろう 「それでは、強力なレンレイが、弱いレンレイに対して自己の利益のために不当な仕打ちをしても、その動機をアイだと主張して押し通せば、正当化されるのではないか」と。  そのとおりである。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加