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「やっぱりいませんね……」
ツリーの前を通り過ぎた時、彼は寂しそうに言った。
「さぁ行きましょうか」
歩き出した彼の奥に見えた光景が、その後の私の脳裏に焼き付いて離れなかった。
あれからの記憶は無い。
気付いたら家の玄関で母が出迎えてくれていた。
友人と食事すると偽って出たものだから、母は私が帰って来たことを見届け寝た。
お腹も財布の中身も減ってないが、私は食事を摂ったのだろうか。
あの男性が奢ってくれたか、さもなくばただ食べる気が無いだけなのだろう。
もうすることも無いので風呂に入ったが、それ以降私はあのことばかり考えていた。
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