呪う月桂樹

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私は、側を擦れ違ういつも以上に距離が近いカップルを一瞥した。 “無いものねだり”とはよく言ったものだ。 絶対になりたくないと思っていたものを羨ましがる。 私たちの関係も、ただの擦れ違いだったらいいのにね。 一週間くらい前、最近は予定がつまっているのかというようなニュアンスのメールを送った。 勿論、クリスマスは開いているのかという意味を込めて。 返信があったのは今朝──クリスマスイヴ。 「ここ二日は友達と遊ぶつもりだよ」 これは私への当てつけかしら。 “ここ二日”ってイヴもクリスマス当日もじゃない! あの人のいう“友達”の中には、女性も含まれていることは知っている。 だって、以前楽しそうに友達について話していたもの。 きっと私より可愛くて性格が良くて、なおかつ趣味が同じなんでしょう? 例え私が可愛くて性格が良かったとしても、あの人と趣味が同じになることは決して無い。 その時点で私があの人の友達の女性に敵うはずもない。 何て哀しい事実なのかしら。
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