呪う月桂樹

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いつも二人で“遊ぶ”時の集合場所である、駅前通りの中央にそびえ立つクリスマスツリーの前に、私はいつの間にか立っていた。 私としたことが女々しいな……。 彼がここに来るはずも無いのに。 活発そうな美人の女性が電話越しに怒っているのを横目にそう思った。 取り敢えず近くベンチに座ろうと思い歩き出すと、その女性がもう知らないなどと言って急に駅側に引き返した為に、危うくぶつかりそうになった。 やっとこさベンチに座ると何となく暇で、携帯を取り出してみる。 そこには花を象った携帯ストラップが一つだけついていた。 そういえば、これはあの人から貰ったもの……。 「携帯ならよく見るだろ?その度に僕を思い出してくれたら嬉しいな」 気位が高い私は、何となくそれを付けるのを躊躇ったりした。 本当はあの時、嬉しかったのよ? しかし、よく見る携帯のせいでその度に私はあの人という辛い存在を思い出すことになった。 あの人は私のことを思い出すことはあるのかしら? ──きっと無いのでしょうね。 やっぱり付けなければ良かった。こんな辛いストラップ、外してしまおう。
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