呪う月桂樹

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「これからデートなのでしょうに、僕なんかが邪魔をしてしまって申し訳ありません。どうかお気になさらずに」 私がデートの約束など無いと笑って言うと、男性は心底驚いたように目を見開く。 「来ないのが分かっているのに待っているなんて、馬鹿みたいですよね」 膝上で握られている携帯に目を落としていると、男性が言った。 「あの……、良かったら、お茶でも飲みません?」 未練がましい私は、その誘いに乗ることにした。 喫茶店に入るのかと思いきやコーヒーショップのチェーン店に入ろうとする彼は、かえって騒がしいために話が周りに聞こえないのだと言った。 「それにこちらの方が気が沈まずに済みますし」 誘ったのは自分だからと親切に私の分のコーヒーまで買ってきてくれた。
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