呪う月桂樹

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「僕にとって彼女は高嶺の花なんです。 彼女の美しさは外見じゃない、内側にあるものです。その苦悩が彼女をより強く美しくしているのだと思います。 花が誰かの手で折られようとしているならば、この手で守りたい。 なのに、今精神不安定の彼女を更に不安にさせてしまいました。 大丈夫ですかね?もう駄目なんですかね……?」 先程から溜息ばかりついている。 こちらからすれば、貴方も大丈夫かと尋ねたい気分だ。 「ところで、あの方がまたツリーの前で待っている可能性は無いんですか?」 「彼女は頑固です、ありえません」 それもそうだ。そうでなければ私といるのはかなりまずい。 「そうですか。 でも、以前泣きついてきたことがあるんですよね?でしたら大丈夫だと思いますよ。誠意を見せて言い訳せずに謝れば」 女性は誠実さに弱いですからと私が言うと、 「良かった、女性に相談して」 と男性は安心したように溜息をついてコーヒーを啜った。
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