35人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごめんなさい」
「えっ?」
「友達としては好きな方かも知れないけど、恋愛対象としては…。
それに実は私、後期の双華も落ちちゃったんだ。きっとここが、私と鬼塚の分かれ目なのかもね」
歯を食いしばりながら拳を握る。気を許したら泣き止みそうになさそうだ。
「そんなこと言うなよ!メールで連絡取り合えばなんとかなるだろ!?」
「……私の生活リズムも考えて。鬼塚は自転車通学だろうから良いよ、でも私は電車も使うんだよ。同じ時間に授業が終わったと考えても帰宅時間には大きな差がでちゃう。鬼塚はやっていけると思っても、私にはそうは思えない。だから…、」
一本の矢が俺の心を貫いた。
「…そっか、ごめん。忙しいのにこんな所呼んじゃって。話はこれだけだから、有難う」
「別に良いよ。それじゃ…」
ガラガラ
遥ちゃんは出て行ったみたいだ
全身が弛緩してその場に崩れ落ちるように座り込んだ。
目から流れ落ちる水は頬を伝ってあちこちを濡らしている―――。
~fin~
最初のコメントを投稿しよう!