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「ママ、おきて」
ペチペチと頬を小さな手で叩かれる。
「…陽斗ぉ…今日は休みだよ?もう少し寝ようよぉ」
「うしゃぎしゃん、いっしょに遊んでいい?」
「…うしゃぎしゃん?」
完全に目覚めない頭の片隅を昨夜の夢が過ぎる。
「だから違うよ。ママいつも人参すりおろしていれてるもん」
「そうなの?」
キッチンで瑠菜と、夢に出てきたウサミミ男が人参を持って楽しげに話している。
「おはよう楓。どうしたの?顔真っ青だよ」
「…何…してるの?」
「ママが起きないから、ナギとキャロットケーキ作ろうと思ったの。ナギウサギだから人参大好きなんだって」
「…瑠菜…この人誰か知ってるの?」
「ナギはウサギさんだよ。お月様から来たんだって」
「うしゃぎしゃん」
瑠菜と陽斗の無邪気な笑いが部屋に響き渡る。
「…夢じゃなかったんだ…」
混乱する頭をゆっくり整理する。
しかし、三人の笑い声が思考を停止させた。
「…まぁ…いっか」
楽しげな子供たちを見ていると不思議な事も自然と受け入れられた。
いつの間にか子供たちを優しく微笑んで見ている楓に気づくと、ナギは嬉しそうに微笑んだ。
「ママが作るから二人とも顔洗って歯磨きして着替えなさい。瑠菜、陽斗の着替えよろしくね」
「はーい」
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