序章

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 突然、タイヤが跳ねた。 「スピードを落としな、何を焦っているんだよ?」 親父から借りた古くさいクラウンが、未舗装の道路の荒々しさを貧弱になったサスペンションを通して僕に訴えてくる。 気がつけばスピードメーターの針は、60キロを超えようとしていた。 僕が走るには、この荒々しい峠道では速すぎる速度だ。 見つけた道路脇の退避場に車を滑り込ませる。 たしかに僕は焦っていたようだ。
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