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「何でみんなそんな酷い事ばかり言うの!? 勇者様は、さっきも私を助けてくれたんだよ!?」
思わず、私の口は動いていた。大人達のあまりに酷い言葉に、我慢なんて出来なかった。
「分からないぞ? リースを助けたのは、ついでかもしれなかったかもしれない。」
「そいつが勇者だからって、良い奴だとは限らないしな。」
何故……?
何故、みんなは勇者様にこんな酷い事が言えるの? 最初はあんなに親しげにパーティーまでしたのに。
まるで親の敵のように、まるで極悪人の裁判のように。大人達は、糾弾するかのごとく……口々に勇者様へと苛烈な暴言を投げつける。
勇者様は……勇者様はこんな事を言われても平気なの? そう思って、勇者様の顔をチラリと盗み見る。
が、そこに居た勇者様の表情に変化は無かった。私の心配そうな視線に気付いたのか、こちらを向いて微笑みを浮かべ……
「もしかして、あの魔物はそいつが連れて来たんじゃないのか?」
凍り付いた。
私の首が錆び付いた音を立て、ゆっくりと……ゆっくりと大人達の方へと向く。
「そうだ! そいつが来てから魔物達は来た!!」
「そいつが連れて来たんだ! そいつが俺の嫁さんを殺したんだ!!」
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