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「ここが私達の家だよ! ちょっと待ってね、今パパを呼んでくるから。」
勇者様を連れて、私達は自分の家に帰って来た。途中ですれ違う人達の驚き顔、何だか誇らしい気持ちになった。
「アタシが行くー!」
「あ、こらミーナ!」
中に居るはずのパパを呼ぼうとすると、ミーナが先に家の中へと飛び込んだ。それを見た勇者様は、何が可笑しいのかクスリと笑う。
「はは、そんなに焦らなくたっていいのに。」
そんな笑顔も、私の胸を高鳴らせるには充分だった。見上げるような高さの勇者様は、太陽を背にクスクスと笑い続ける。
「おお、これはこれは勇者殿、水の街ウィーダにようこそ。私が町長のトム・マードックだ。」
「はじめまして、俺は魔王を倒す旅をしているアレク。よろしく。」
パパと勇者様は、互いに手を差し出すとガッチリと握手を交わした。握手をするときにマントの奥が、少しだけ覗く。
がっしりとした体と、体にピッタリとした黒の服。それと、小さな鉄の輪っかみたいな物が、沢山ジャラジャラとくっついているのが一瞬だけ目に入る。
そんな私の視線に気付いた勇者様は、「気になるかい?」と言ってマントを広げてくれた。
「うわぁ……」
「はわぁ……」
そこには、沢山の道具が勇者様の体に付けられていた。
小さな瓶がポケットから覗き、魔法草で編まれた紐。ジャラジャラ付けられていたのは、綺麗な宝石であしらわれた腕輪だった。
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