11人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ勇者様。」
「ん? 何だい?」
勇者様が街に来た事は、あっという間に街中に広がった。沢山の大人達が勇者様にご挨拶しに来たし、隣の家のマルコや向かいの家のミンも勇者様を見にやって来た。
そして、勇者様の歓迎パーティーをパパが開いた。ご馳走が沢山出たし、普段はあんまり呑まないワインとかも沢山出された。本当に……本当におっきなパーティーだったな。
「勇者様は、どこから来たの?」
長いパーティーが終わると、勇者様は私達の部屋にやって来てくれた。だから、私は勇者様に色んな話をしてもらっている。
「遠い、遠い東の国だよ。山の中の静かな村で、俺は生まれたのさ。遠い……どれくらい遠いか分からないくらい、遠い国からね。」
「ほぇ~……」
「はわ~……」
勇者様は、今まで見た事も聞いた事もない、様々なお話を聞かせてくれた。
港町の波止場で船に乗ったお話、大きなお城と王様のお話、魔物と一緒に住む不思議な人のお話……
楽しいお話や面白いお話で笑ったり、悲しいお話で泣いたり……時が進むのも忘れて、私達は沢山のお話をしてもらった。
「ほら、そろそろ良い子寝る時間だぞ。」
「えー、もうちょっとー!」
「もうちょっとー!」
まん丸のお月様が高く登った真夜中、勇者様にお話の続きをねだっていた時だった。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
聞いた事も無いくらいの男の人の絶叫が、私の耳に飛び込んできた。
最初のコメントを投稿しよう!