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夏の太陽も沈む程帰宅時間が遅くなった俺は、2LDKのマンションのドアを開けた。
「ただい……」
「おかえりっ!お兄ちゃん!」
俺がまだ言い切らないうちに、まだまだ幼さを感じさせるソプラノボイスが俺の耳に響く。
台所に行くと、テーブルに俺の妹である姫華(ヒメカ)が夕食を並べていた。
俺は心を和ませるスパイスの匂いに目を細める。
「今日はカレーか。」
「うんっ!いっぱい食べてねっ!」
とりあえずブレザーとネクタイを外した俺は仕事帰りのサラリーマンのようにイスに座った。
『いただきます』
そう2人で声を合わせてからカレーをぱくつく。
俺はいつものように咀嚼する間に姫華を見る。
柔らかなピンクブロンド色の髪にボブカットの髪型。前髪を黄色の髪留めで留めて目にかからないようにしている。
肌は白く、もちもちとしているのが見ただけで分かる。びっくりする程の童顔で、見た感じ小学6年生か良くて中1あたりが妥当に見える。が、一応俺と一つ違いで本当は中学3年生。15歳だ。
外側はこんなに子供っぽさを多分に残しているが、スペックは半端ない。
今食べているカレーも含めて、基本的な料理は完全にマスターしていて味はどれも太鼓判だ。他にも、洗濯・掃除も完璧。根がマジメなので勉強もできる。
しかし、性格と運動能力は外見を裏切らずにへっぽこで子供っぽい。
しかし機能性は抜群、癒されるこの妹の存在は両親のいないこの家では本当に貴重だ。
別に両親は地元に行けばちゃんと居るが、中学時代に散々暴れまわった俺は両親に愛想をつかされてしまい、それに反抗期だった俺がさらに状況を悪くしたせいで家に居づらくなり、こうして家を出て生まれ変わった生活をしている訳だ。
しかし、純粋すぎる姫華は俺が中学の時から更正すると信じて接してくれた。俺が今年の春に家を出る時も、残ればいいのにわざわざ両親の反対を押し切って俺に着いてきた。
俺が学生の分際で2LDKのマンションに住んでいるのは、両親からの妹のみに送られてくる仕送りのおかげでもある。
まあ、なるべく両親に借りを作りたくない俺はこうして暗くなるまでバイトをして妹の分まで生活費を稼いでいるのだ。
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