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「そういえばお兄ちゃん。」
元気になった姫華は、猫舌のクセに熱い紅茶を俺のように啜ろうと悪戦苦闘している。
「ん?」
「盾さんは最近来ないね?」
「あ~……あいつは~……」
盾はここら辺の近くのアパートで一人暮らしている………のだが、自分で作るより美味い物が食える。という理由で家に飯をよく食いにきていた。
姫華も姫華でおいしそうに自分の料理を食べてもらえるのが嬉しいらしく、盾にも飯を振舞っていたのだ。
が。
「盾の奴最近彼女が出来たらしくて、彼女に家で飯作ってもらってるんだと。」
「ほぇ~~。盾さん彼女できたんだ~~。」
姫華は結局熱い紅茶に負けて、氷の欠片をカップに落としながらいった。
「びっくりだよな~。てか腹立つわ、盾に彼女なんて。」
「ア、アハハ……。
あっ、そういえば……お隣に新しく引っ越してきた人がいるんだよ。」
カップの中をスプーンでかき混ぜる姫華。
「へぇ~。挨拶にきたのか?」
「うんっ!どこから来たのかは分からないけど、ここ最近に引っ越してきたんだって!」
「ふうん。この時期に引越し。ってのもよくある話だけど、父親の仕事の都合とかかな?」
俺の推測に姫華は可愛らしく首を振った。
「んーん。家族じゃなくて一人暮らしだって。まだ学生さんなのに大変だねぇ。」
「学生でマンションに一人暮らしとは贅沢だな。まあ、ウチも言えた事じゃないし、ここは少し特殊だからなぁ。」
「でも金髪で蒼い目の綺麗な女(ヒト)だったし、どこかのお金持ちのお嬢様だったりして~。」
「・・・・・・・・ッ!!」
俺は危うく紅茶を噴出すところだった。
女。
学生。
金髪。
碧眼。
最近引っ越してきた……。
「ちなみに、姫華。そのお隣さんの名前って、藤堂……だったりしないよな?」
「うんっ!そうだよ。
なんでわかったの?」
「!?」
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