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本間についた。
僕が中にいる父に声を掛けると、父が入るように促した。
中に入ってきた僕と結菜を父は無言で見ていた。
「ご無沙汰しております…。今日は、電話で話した通り大事な話があって……」
言い掛けると、父は僕の前に立ち僕を立たせて殴った。僕はその痛みで昔のことを思い出した。
昔も、今みたいに父に殴られたことがあった。原因は、今回みたいな家に関わることだった。
両親の言うとおりに従順に働く兄を見て、反抗した僕を殴って、家から追い出したのだ。
そんな忌々しい記憶を思い出し、自嘲的に笑うと結菜の手が僕の袖をギュッと握った。我に返った僕は父に頭を下げて
「僕は、彼女…川邊結菜さんと結婚したいと思っています。ですから…河津を…この家から僕は出ていこうと思っています」
一気に言った。
僕は震えていた。そんな僕を結菜が隣で支えていた。
「いつまで子供のようなことを言っているつもりだ?何の為にお前を家に出したと思っている?
結婚などと言っている暇があるのなら、兄達を見習ってはどうだ?」
母と同じことを言う父に嫌気が差した。
僕が反論しようとしたその時、隣にいた結菜が立ち上がり
「圭君を……なんだと思っているんですか?圭君は…小さい頃の楽しい思い出がないと言っていました。この家は広いです…それと同じくらい皆さんの心の距離も離れすぎています。親なら…圭君の幸せを第一に考えてあげるべきです!!」
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