雪ふる世界を

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いつもよりも一段と寒いと感じ、僕はふと空を見上げた。寒いのは当たり前なのだろう。 空からは、ハラハラとゆっくり真っ白な花びらが舞ってきていた。 「雪……」 僕は静かに呟いた。 またこの季節がやってきたのだ。銀色の世界に染まる季節が…… 僕はそう思うと、しばらく空を見上げたままでいた。見上げていないと、僕はまた君を探してしまうから。銀色の世界で赤く染まった君を思い出して涙を流してしまうから。 君を忘れたいのに 忘れたくない 君を想いたくないのに 死ぬまで君を想っていたい自分に矛盾があることはわかってる。だけど、君がいないこの世界を無意味だと思えないのは、君が好きだと言っていた『雪』が君が綺麗だと笑っていた『雪』があるから。 「冬の桜だね?」 「桜?冬には桜なんて咲かないよ?」 「わかってる!!でもさ…雪は空から舞ってくるのよ?まるで、春に桜が舞うようにさ。とっても綺麗でしょう?」 風流とか感じたことのない僕は君を笑ったけど、今わかるよ 「雪花のようだ……」 呟くと僕は再び歩き出す。君の笑顔を頭に、君の詞をこの胸に。 僕も好きになりたい………君が愛した世界……………
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