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好きな色は白だとはかなく笑った。僕は君をジッと見て首を傾げ
「白は色なのか?」
分かり切ったことだ。白は色ではない。僕にとっては白はそんな色だった。
君は僕の質問に嫌な顔せずに、ニッコリ微笑み
「あなたの名前はなに?」
「名前?僕のか?」
「そうよ!あなたの名前」
仕切りに君は名前を聞いてきた。僕は眉を寄せながら
「河津圭だ…」
そう一言呟いた。君は僕を見て
「私の名前は川邊結菜」
別に僕は君の名前なんて聞いてないのに、君は自己紹介をしてきた。
僕は鼻で笑い
「自己紹介したからって、別になんだっていうんだ?僕の白に対する気持ちは変わらないさ」
冷たい言い方をしたのはわかってた。君は悲しそうに笑い
「でも…興味はあるんじゃないの?」
少し挑発的な言い方で君は僕を見た。僕が言葉を無くしていると、君はおもしろそうに笑って
「興味がないなら、そんなこと言わないよね?白に興味があるの?それとも……」
それともに続く言葉は容易に想像できて、僕は鼻で笑ってやった。
「アホらしいな……興味なんて……」
ないと言うのは嘘になる。興味はあったのだ。白を好きな色だと言う君に、両親からな愛情を貰えなかった僕には感受性というものはほぼないに等しく、色もそれに然りという感じだったのだ。
「私は河津君と仲良くなりたいよ?」
僕はどういう心境の変化なのか、君の…結菜と友達になることを承諾した。
「握手だね」
コロコロと表情を変える結菜に僕はこの頃から惹かれていたのかもしれない。
僕らは手を握り
「よろしく」
そう言葉を交わした。
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