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僕は結菜と付き合い始めてからよく笑うようになったと言われた。
笑うと言っても、皮肉じみた笑いに近かったが、それでも以前よりはましだと大学の教授達からも言われていた。
「いいことよ」
「何がいいことなんだ?」
「笑うようになったなんて、圭君に感情が出てきた証拠だわ」
結菜は僕の事を『圭君』と呼ぶようになり僕も
「結菜……僕は結菜みたいに心から笑ってるわけじゃないんだぞ?」
『結菜』と呼ぶようになった。結菜は笑って
「笑顔には違いないわよ?
それに、私は圭君の笑顔ならなんでも好きよ?」
「そんなこと言うのは結菜だけだよ」
僕は結菜にしか見せないような優しい笑みで言った。結菜は嬉しそうに笑い
「信じてないわね?本当のことよ……圭君」
結菜、君が好きだ。
どうしようもないくらい。僕は結菜が首を傾げて僕を見てくることにドキンと胸を高鳴らせた。
かと思えば、優しく結菜を抱きしめて唇を重ねた。
「結菜を好きになってから、どんどん僕はおかしくなるよ…。結菜…君に溺れていくみたいだ」
結菜はギュッと僕を抱きしめ返すと僕を見て微笑み
「なればいいじゃない……私も圭君に溺れていってるみたい…初めて会ったあの日からよ?」
もう僕は結菜を手放せなくなってしまったみたいだ。
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