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携帯電話から亜美の大好きな着メロが鳴る
「ママ、パパ」
そう言って携帯を母親に渡す亜美
「あーちゃん、ありがとう」
母親は笑顔で携帯を差し出す亜美にお礼を言いながら携帯にでる
携帯のスピーカーからは父親の声
「ママ今から帰るから、それに今朝頭が痛いって言ってたから薬買ったから」
「ありがとうパパ」
「無理しないで、夕食まだなら今日は外で食べるか、弁当買って帰ってもいいし」
「大丈夫、今日は亜美の好きなシチューだから早く帰って来て亜美がお腹を空かせた熊みたいにシチューの周りをうろうろしてるから」
「ははは、わかったよ」
そう言って携帯をきり自転車に股がり走り出す父親
「そうか今夜はシチューか寒くなって来たからナイスな献立だな、そうだ亜美にプリン買って帰ってやるか、シチューとプリン両方亜美の好物がそろったら、どんな顔するだろ…可愛い娘のために寄り道するか」
独り言を言いながら角を曲がった先には洋菓子屋
でも父親を待っていたのは大きなダンプカー
いつもの夕暮れの街中にコダマする女性の悲鳴と地面を赤く染める血液
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