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店員の人に喫煙席に案内された。
喫煙席に座ったのも初めてだった。
いつも行くレストランと言えば、フランス料理のお店や、料亭あたりだから。
こんな面白いところ彼が連れてきてくれるだなんて。
「ねぇ、ねぇ、どれでもいいの?」
「あぁ、どれでもいいぞ」
「え~、どれにしようかな~」
どれにしようか、とても迷ってしまう……。
「さおり、もう俺決まったから注文するけど良い?」
「あ!ま、待って><
え~っと、私これ!!」
「おっけー」
彼がテーブルの上にある、小さなボタンを押した。
すると、音がなって店員が現れた。
すごい、なんて画期的なんだろう!!
「えーっと、これとこれ……それからこれ、で、このセットでお願いします」
彼はスラスラと注文を言っていく。
「あ、二人ともライスで――」
彼のその言葉に一瞬思考が停止した。
ライスって……パンとライスのことよね?
ライスって……
どうしてライスなの?
私は我慢できなくなり、思い切りテーブルを叩いた。
人の目なんて気にすることもなく…………
「三郎!!どうしてライスなの!?」
「え?ライスって……さっきの?」
「そうよ!!どうして……どうしてライスなんて…………」
「あ。えっと……ごめん」
「……謝って済む問題だとでも?勘違いしないで!!」
「え、だって俺が勝手に決めたから怒ってるんだろ?」
「……そうよ!!でもね、そんなことで怒ってるって思ってほしくなかった!!」
「え……いや、でも」
「違うの!!私は、私は……
いいえ、
私がパン好きだって知ってるくせに、なんでライスなのって……」
「ごめん、さゆり……。お前の気持ちも考えないで」
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