三秒

3/4
前へ
/28ページ
次へ
店員の人に喫煙席に案内された。 喫煙席に座ったのも初めてだった。 いつも行くレストランと言えば、フランス料理のお店や、料亭あたりだから。 こんな面白いところ彼が連れてきてくれるだなんて。 「ねぇ、ねぇ、どれでもいいの?」 「あぁ、どれでもいいぞ」 「え~、どれにしようかな~」 どれにしようか、とても迷ってしまう……。 「さおり、もう俺決まったから注文するけど良い?」 「あ!ま、待って>< え~っと、私これ!!」 「おっけー」 彼がテーブルの上にある、小さなボタンを押した。 すると、音がなって店員が現れた。 すごい、なんて画期的なんだろう!! 「えーっと、これとこれ……それからこれ、で、このセットでお願いします」 彼はスラスラと注文を言っていく。 「あ、二人ともライスで――」 彼のその言葉に一瞬思考が停止した。 ライスって……パンとライスのことよね? ライスって…… どうしてライスなの? 私は我慢できなくなり、思い切りテーブルを叩いた。 人の目なんて気にすることもなく………… 「三郎!!どうしてライスなの!?」 「え?ライスって……さっきの?」 「そうよ!!どうして……どうしてライスなんて…………」 「あ。えっと……ごめん」 「……謝って済む問題だとでも?勘違いしないで!!」 「え、だって俺が勝手に決めたから怒ってるんだろ?」 「……そうよ!!でもね、そんなことで怒ってるって思ってほしくなかった!!」 「え……いや、でも」 「違うの!!私は、私は…… いいえ、 私がパン好きだって知ってるくせに、なんでライスなのって……」 「ごめん、さゆり……。お前の気持ちも考えないで」
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加