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痛む体を引きずって、さっきの場所へと戻ってきた
そこにはもう誰も居ないと思っていたから、通り過ぎようと思った
なのに、気付けばまた
さっきの男たちに囲まれていた
しかもさっきよりも人数が増えている
「さっきのお友達は居ないみたいだなぁ?」
友達…?
何を言っているんだ
「怖くて声も出ないか?」
違う
泣き叫ぶのに疲れただけだ
どうせ、誰も来てはくれないのだから
俺じゃどうにもならないのも、知ってるから
「さっきの楽しみ、返して貰うぜ!」
お前たちが勝手に俺をいたぶってるだけじゃないか
俺はぎゅっと目を閉じた
パシンッ
肌と肌のぶつかり合う音
でも、
痛くない
そっと目を開けた
俺の目の前には、さっき助けてくれたあの男が立っていた
「何してるんだ、お前たち」
男の酷く冷たい声に、男たちは怯んだ
ギリッと音が鳴りそうな程、強く強く男の拳を握る
「くっ…!」
小さく声を上げ、男の手を振り払い、男たちは逃げ出した
「……大丈夫か?」
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