出逢いは突然

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去っていく男たちを睨み付けた後、その男は俺に向き直り、さっきとはうって変わって優しく声をかけた 「こういう時は声上げろよ」 なんて 言ってくる 「………も…」 小さな声で 「ん?」 「誰もっ!誰も助けてくれなかったじゃないか!!」 自分でも吃驚するくらい大きな声で 「泣いて!助けを求めても!見て!見ぬふりして!笑って!罵って!」 誰も…助けてくれなかったじゃないか… その時、ずっと黙って聞いていた男が動いた 俺は反射的にびくっと体を震わせ、固く目を閉じた 訪れたのは衝撃ではなく、優しい体温 ちょっと、ごつごつしてたけど 「なぁ」 「………」 「俺の家に来ないか?」 「…は?何で?」 「や、何となく」 「………」 俺は男の言葉に体の力が抜けた 「俺、ザックスっていうんだ」 …名前なんて聞いてないし 「お前は?」 答えても、いいのだろうか この男に、迷惑をかけないだろうか 不安だけが頭を過っていく 「名前」 催促するように、もう一度呟かれた言葉 「……クラ…ウド…」 「クラウドな!よし、これからお前俺の家に住め!」 なんて、強引に 俺は呆気に取られつつ男…いや、ザックスの後に着いていった
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