召集令状

9/9
前へ
/119ページ
次へ
ドキッとした私だったが、じっと耐えた。 こんなことは、はじめてで、どうしてよいかわからない。 二人でデートをしたこともなければ、約束をしたこともなかったが、好意は持つようになっていた。 しかし、私の頭からは、(召集令状)という文字は離れなかった。 やがてT先生を起こして言った。 [今度の召集は、教育召集なのです。 三ヶ月で帰れるかも知れません。 それまで、できれば待っていて下さい] 優等生の言葉である。 だが、私はむしろ自分の臆病をかくすための逃げ口に思え、自己嫌悪に陥っていた。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

367人が本棚に入れています
本棚に追加