私たちの唄

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あぁ~、もうまじむかつく。あたしはあいつのあんな空気の読めないとこが嫌いだ。あいつのアホさ加減が嫌いだ。あいつの締まりのないヘラヘラした顔が嫌いだ。言ってしまえば私はあいつがだーいっキライだ。どれくらいかっていうとあいつとアメーバのどっちかと結婚しろと言われれば即決でアメーバの子供をわたしは作るだろう。いや、アメーバが好きな訳じゃないけど。ミジンコやカエルでもいいわけで・・・。ともかく!あたしはあいつがきらいだ。いつもそうだった。あいつがくだらないバカして怒られるのはいつもあたしだ。なにが幼なじみだ!なにが近所だ!そんなのすべてクソくらえだ。 あたしこと北岡さとみは自分で言うのもあれだが、ドスドスともう地面が揺れんばかりに学校の廊下を歩いていた。あたしをイライラさせる事件はついさっきのことだ。 朝。なにもないいつもの朝。しかしこれがいけなかった。今日は学校をサボるべきだったんだ。いつものように家をでる。すると、いつものようにやつこと、岡崎俊平がおむかいの家からでてくる。 「おはよっ、シュン。」 「うぃっす。」 いつものように挨拶をかわす。別に日課ってわけでもない。仕方なくだ。そう仕方なく。 「おっ、そうださとみ。話があるんだわ。」 シュンがあたしに話しかけてくる。この時こいつが話しかけてくるのはたいていやっかいなことだ。事実やっかいだったわけだし。 「うん?なによ一体。金なら貸さないわよ。むしろこの前貸した500円を返せ。」 「お前の中でおれという人物はどんなんだよ…。」 「ご近所さん、仕方なくの幼なじみ、金借り魔、結婚したくない人間もとい生物No.1。」 「ひどい扱いだな。」 「いや、そうでもない。」 だって親父なんが『生物として認めたくない生き物No.1』だから。 「いや、まぁそんな話は置いといてだな。今日の放課後用事あるか?。」 「う~ん。たしか無かったはず。」 「そうか。なら教室に残っててくれよ。」 「なんでまた?。」 「まぁその時になりゃわかるさ。」 『どうせまた勉強教えろだろ?バカだからなこいつ。』と思いつつわたしは「うん。」と言ってしまった。肯定してしまった。承諾してしまった。そう!まさにこの一言こそが失敗だったのだ。
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