2人が本棚に入れています
本棚に追加
「良かった、起きられる?」
手を取られ、上半身だけ起き上がる。
あまり、体に力が入らなかった。
「体が怠い…」
それが、俺が初めて発した言葉だった。
男は、嬉し過ぎて泣きそうな表情をした。
しかし、直ぐにフワリと笑う。
「未だ生まれたばかりだからね。
直ぐに治るから、平気だよ」
「そうか…」
何故、頭の中に言葉が浮かびそれを声に出せるのかがとても不思議に思えた。
「由灘博士、ちょっと宜しいですか?」
男はユナダ、というらしい。
「おい、NO.0。服を着ろ、寒いだろ」
「…、…?」
「…お前の事だ。
左腕に印があるだろ?」
そう言われ、左腕を見ると『No.0』とあった。
「駄目だよ、番号なんかで呼んじゃ!!
ちゃんと名前があるんだから!!」
「∑ぅおっ?!!!」
いきなり真横から大声が飛び、男が叫ぶ。
ガシッ、と肩捕まれる。
「君は『侑夛』だよ」
「…、…誰が?」
「君の名前」
一瞬、周りが明るくなった気がした。
「お前の、名前は…?」
「オレは侑一。
宜しくね、侑夛」
最初のコメントを投稿しよう!