~日常~

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「君、随分身長高いねぇ。幾つあるの?」   和哉の前の席に居た奴が話し掛けてくる。       何だか、女みたいだな。 やたら色素薄くて線が細いし…。       「んぁー…、百八十七だったかな…」   「俺よりデカいやん?!」   「へぇ、良いなぁ。 俺なんか百六十九しかないよ。 あ、俺は志善 春樹(シゼ ハルキ)っての。春樹、で良いよ。宜しく」   「ん、宜しく。 俺も侑夛で良いから」       「春樹はな、良ぅ女に間違えられるんよ。 まぁ、しゃあないけどな。俺も初めて会った時見間違えそうになったしな」   「和哉、余計な事言わなくて良い」   「これで女やったらなぁ。間違いなく落としとるのに」   「気色悪い事言うな。殴るよ?」                     色々話しをしてて少し二人の事が解った。     和哉は、両親と兄を中学生の時に事故で亡くしていて、祖父母の居る大阪からこっちに引き取られたらしい。   何でも、和哉は結構名の知れた和菓子屋の次男だそうで(店の名前は俺が知っている位だ、凄く大きな店なのだろう)、和哉は兄の代わりに店を継ぐ為に今色々教えてもらっているらしい。       春樹は、六人兄弟の長男という中々の苦労人だ。 家が柔道場で、春樹自信全国大会一位という、見た目からはとても察しが付かない程の凄い成績の持ち主だ。   それに加えて、母親の手伝いを小さい頃からしていて、女顔負けな位に家事が出来るらしい。     …和哉が「女だったら落としてる」と言った理由が解った気がする。
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