研究施設

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僕の主は研究者です。 何時も沢山の培養液の入った硝子管に囲まれ… 難しい事の沢山書いてある書類に埋もれ… 血が通っているのか不安になるぐらい白い肌で… 貼り付けた仮面の様な微笑みを浮かべ… 疲れたきった青い瞳で僕を見ます。 僕はそんな時、黙って主を見詰めます。 それが普通なんです。 僕は外の世界の事は知らないし、これが可笑しい事だなんて思いません。 僕にとっての世界は、この研究室だけです。 此処から出た事も無ければ、見た事も無い。 だから、主が全てを教えてくれます。 空も雲も草も花も言葉も… 全て… ―コンコン ああ、知らない世界の扉が開きます。 何時も三人の男が来ます。 そして、主と何か話をし、何処かへ行きます。 扉の向こうはどうなっているのでしょう。
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