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ある日、主は僕に言いました。
「君は…失敗作なんだって」
失敗作?
シッパイサク?
しっぱいさく?
って何?
意味が分からず、主を見上げます。
あれ?
「主、怪我をなさってますよ。
血がでています」
主はびっくりしてしまいました。
「どうしました?」
主は首を振ります。
「君は…どうして失敗作なんだろうね」
どうやら、僕に質問をする権利は無い様です。
なので、黙って主の話に耳を傾けます。
「君はクローンなんだ。
君の元は12歳の少女、ナナ。
ほら、彼処に漬かってる子だよ」
主が指差した方には…
確かに少女が漬かってました。
水色の培養液の中、片腕の無い少女。
あれが…
僕の元?
視線を主に戻します。
相変わらずの微笑みを浮かべていました。
「あの子は、この施設に連れて来られた孤児なんだよ」
孤児…?
「本来は細胞を取って造るんだけどね…
そんなデリケートな物より、体の一部分を切り取って、特殊な培養液に漬け、体を再構成させるんだ。
其方の方がより良い物が出来るのではないか…
その考えの元、僕は研究を続けてるんだ」
主の話は難しく、僕の頭はパンクしそうになりました。
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