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自由…?
「主。
自由とは…」
最後まで言えませんでした。
主の細い指が、僕の唇を塞いだからです。
「主ではないよ。
僕の名前はマルス。
人の言いなりになるしか脳の無い、愚かな研究者さ。
さぁ、呼んでごらん」
主は指を放します。
「…ァ…ァ…」
僕は口を必死に動かし、言葉を発しようとしますが、言葉になりません。
「ゆっくりで良いよ」
「マ…ァ…ルゥ…ス…?」
途切れ途切れの小さな声。
主…
いいえ、マルスは笑います。
とても嬉しそうに。
マルス「そうだよ。
僕の名前はマルス。
君は…」
扉が乱暴に開かれました。
マルスは舌打ちをし、僕に背を向けます。
「マルスさん。
何、余計な事を喋ってるんですか?
そんな処分が決定されたゴミに」
マルス「ゴミ?
君の眼は節穴かい?
彼は僕の最高傑作だよ」
まるで、僕を庇うかの様に立ちふさがる。
マルス「やっぱり、上は馬鹿だね。
ねぇ、ピット。
君が此処に来た事が何を意味するか…
分かるかい?」
マルスは笑います。
くすくす、くすくす嘲笑います。
ピット「意味?
そんなの、簡単ですよ。
ゴミを処分する為です」
彼が喋り終わると、声を上げて笑い出しました。
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