39人が本棚に入れています
本棚に追加
山本は、席に座ると直ぐに
、手帳を広げて段取りやら予
定やらを確認している。普段
は、ふらふらしていて、四六
時中おとぼけを決め込んでい
るように見える彼も、それな
りに緊張しているようだった
。
私はと言うと、ひたすら外
を眺めていた。私は電車の中
から外を見るのが大好きで、
学生の頃、盆や正月に帰省す
る際など、各駅停車で半日以
上もかけて移動したものだ。
そんな時、私は本を読むで
もなく、ただ外を眺めて楽し
んでいたのだ。
夜は、夜景の明かりと、車
のライトを楽しんだ。
昼の景色では、電車から伸
びる影が、列車のすぐ脇の地
形に合わせて、伸びたり縮ん
だりするのをみて意味無く笑
った。
影が見えない時も、それは
それで、風を感じたり匂いを
かいだり、自分の分身が列車
と同じ速度で走ってついてく
るのを想像したりと、まるで
飽きると言う事を知らず、も
うそれは、趣味といっても良
いくらいなのだ。
最初のコメントを投稿しよう!