始まりの夢

5/5
前へ
/122ページ
次へ
 こめかみを強く押さえながらもそれに耐えながら私が、熱いシャワーで身体を暖め始めると、頭痛は少しずつ薄れてゆく。まだ五時前だったが、一人住まいのマンション暮らしだったから、気兼ねは無く、音を出しても気にならなかった。  さらに頭痛が早く治まる様にと、頭から熱いシャワーをかぶりつづけ、それが終わるとファンヒーターをつける。冬は始まったばかりだったが、朝の冷え込みはすでに厳しいため、暖房のスイッチも入れて部屋の空気を暖めてやる。そうしておいてキッチンに立った。  胃もきりきりと痛む。熱いコンソメのスープを作ると、その中に卵をといて落とす。身体の中から暖めないといけない事を、長年の経験で学習していた。  今日は、これから出張で出かけなくてはならなかった。他県にある、とある工場に、私の会社で作っている製造機械を納品に行くことになっていたのだ。
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加