雪国への出張

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 新幹線のホームで、同僚と 落ち合う。私を見つけた山本 が、こちらに向かって手を振 ってくる。  山本は技術者ではなく、営 業部の人間だった。  彼と私は、同期で、しかも 同じ大学を卒業していた。  しかし、学生時代は、お互 い面識もなく、顔すら合わせ ないような、方向の全く違う 生活を送っていたのだ。  私は地方から出てきて、学 生寮で生活していたし、彼は 自宅から学校に通う毎日だっ た。嗜好もまるで違う。   例えば、私は理系の人間で あるし、生活自体も地味なほ うだ。一方、山本はというと 、文系の人間で学生時代から 色々な意味で派手好きであっ た。  そんな私達であったが、入 社後は親しくするようになっ た。同窓の意識が、そうさせ たのかもしれない。
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