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「所長から優時君のこと、聞いてます?」
「えぇ…。優時君の本当のご家族のことですよね?」
麻菜は良守を見ながら確認する。
「ああ。…優時君がいなくなったら、皆寂しがるでしょうな。」
「ですね。優時君、優しいから…。」
そこで切ると真盛を見た。
「優時君、記憶は少しでも戻ったんですか?」
「いや…。思い出せないって泣いていましたよ。だが頭痛を訴えていたから今ユメの中で何かを見ているかもしれませんな。」
苦笑を交えつつ良守を見て言う。
「そう…。記憶、戻してあげたいですね。きっと彼の"記憶"もそれを望んで本当の家族と暮らしたいでしょうし。」
「そうですね……。」
それから麻菜は優しく良守の頭を撫でると足を早めた。
それに続いて真盛も早める。
やがて子供達に追い付き、施設へ向かったのだった。
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