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〈…おいで。〉
『でも……。』
良守は戸惑い正守を見つめる。
(さっきまで俺には目もくれないで…、小さい俺は俺の体を通り過ぎてた。…どうなってるんだ?)
〈兄ちゃん、怖いよ…!帰ろう?〉
幼い良守は震えながら正守の着物の端をつかむ。
(あ、着物…。さっき正守さんって人着物着てたな…)
〈怖くなんかないよ。でもそうだな。大分暗くなったし、帰ろうか。〉
正守はそういうと良守を見た。
〈ついておいで。〉
『……うん…。』
(なんだか分からないけど…、もしかしたら家を見れば何か思い出せるかも。)
良守がそう考えている間に正守達は進みだし、良守は距離を保ちながら後をついていくのだった。
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