誕プレ

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「なんだ夢か…」 窓は鍵がかかっているし、俺は元気に起きている。 腕には昨日の注射の後もない。 ただの夢と安心して、俺は一階におりて、いつものように朝食をすまし、学校の準備にまた部屋にもどった。 「痛ッ」 何かが足に刺さった。 「何この細いの、シャーシン? ……あれ…これ針じゃない??」 俺は驚いた。 昨日夢にでてきた、俺の腕で折れた注射針… 目を疑った。 「なんか偶然だろう」と、取りあえず足にカット版を貼ろうとした。 …ない… 刺さったはずなのに、どこに刺さったかわからない。 気づけば痛みもない。 どおなってんだコリャァ… 勇気をだして、ためしに針を親指にさした。 痛かった。 ぬいたとたん、血がすぐ止まった。 もぅどこに刺したかわからないくらいになっている。 俺はまだ夢をみていると思って、また寝た。5分くらいして母さんに起こされ学校へ行った。 遅刻しそうな時間だった。 急いだ。 かなり急いだ。 しかし一分遅刻した。 先生は言った。 「すこしでも急げば間に合ったろうに…」 「かなり頑張って来ましたけど。」 「うそつくな、汗もかいてないし息も乱れていない。」 はっとした。 たしかにぜんぜんきつくなかった。 そして何より、最低でも10分は遅刻すると思っていたのが、一分ですんだことに驚いた。 俺は昨日から自分が変だということに気付いた。 そんななか、携帯に留守電が入っているのに気がついた。 非通知だった。 昼休み聞いてみたが、学校はうるさくて声がよく聞こえなかった。 学校から帰って聞いてみた。 また何言ってるかわからなかったが、不思議と頭には伝わってきた。 俺は昨日の夜中、確かに注射をうたれたということだった。 それにより俺の体はバージョンアップしたとのことだ。 信じられない。 「しかし何のため?」 その答えは話されなかった。 わけわかんねぇが、なんか特した気分だ。 事実、俺の運動神経は格段にあがっている。 再生能力も半端ないくらいあがっている。 友達の前で指に針をさしてみせた。 血がすぐ止まった。 あのときの驚いた顔は手品でもみているようだった。 階段は踊場まではひとっ飛びで上がれた。 俺は思いもよらない誕プレをもらったみたいだ。
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