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「入るぞ」
そう声をかけて風紀室の扉を開けるとそこには風紀委員長である俺の従兄弟、篠ノ井睦月がいた。
「うさ吉、入るときはノックをしろと言っているだろうが」
「お前こそ人のことをうさ吉って呼ぶな」
溜め息をつきながら小言を言う睦月にうさ吉と呼ばれた卯月はムッと眉をひそめた。
うさ吉というのは睦月が呼ぶ卯月の愛称だ。
由来は説明するまでもなく卯月の名前からきている。
「それで、今日は魔王と愛犬を引き連れて何の用だ」
「アレが壊した備品を纏めたリストと球技大会についての書類だ。今年は例年以上に荒れそうだからな」
「ああ、アレのせいでか」
卯月が差し出した書類を受け取る睦月の心底嫌そうな顔。
端正な顔立ちだからこそ迫力がある。
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