第一章 ―孤狼―

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誰一人反応出来なかった。いや見えてすらいない。 飛ばされた兵士はすでに意識はないだろう。力のない体制のまま地面に着く―― 「だからめんどうなんだって……弱いの相手にすんのは」 最後の一言が兵士達を怒らせ、冷静な判断力を失わせた。 そして今度は一斉に攻撃を仕掛けた。 少年は軽く飛んだ。 そう、軽く。 しかしその跳躍は兵士達の包囲網を軽々と越え、一人の両刃剣を持った兵士の後ろに立ちその小さな手刀を防具の間だの首筋に当て意識を刈り取る。 『!?』 隣の兵士が剣を向けるとそこにすでに少年はなく、視界の端に離れた場所でまた手刀を構えている姿が僅かに映る。 しかしそれも僅か。 兵士が倒れると再びその姿を見失う。
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