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少年の動きはあくまでも軽く。力を入れているようには見えない。しかしその早さは常人のそれとは比べものにならないものだった。少年は赤い残像を残し軽々と移動していく。
少年の腰に赤い装飾の付いた短刀があるが、あくまで手刀で倒していく。
兵士は少年の位置を確認する前に次々と倒されていく。
気がつけば残りはあと一人。
今までと同じように後ろから倒そうと手刀を入れると――
その手刀はその男に背中越しに伸ばした左手に掴まれた。
「!!」
少年はそのまま兵士を蹴り左手から逃れ、後ろに跳躍し距離をとる。
しかしその蹴りも振り向いた兵士の右手に阻まれダメージは与えられない。
「おじさん何者?」
「何者……か、まぁただの兵士ではないことは教えといてやる」
「?」
「まぁ気にするな。それより……お仲間さんはどこいった?」
「僕も知らないよっ。置いてかれちゃって……」
少年に任された目的は時間稼ぎ。決着を急ぐ必要はない。しかし、少年が倒されてもいけない。少年は警戒心を解かないまま会話を続けた。
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