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暗闇の中に一匹の狼がいた。狼は木々の間を駆け抜け何かから逃げていた。
その後ろには木々は軽く越えていると思われる巨人「ゴーレム」が追いかけてきている。
その巨大な体にはコケが生え、ツタが茂り長年動いていなかったことがわかる。手足を動かす度に少しずつはがれ落ちていく。
しばらく走り続けると少し開けた広場のようなところに出た。そこで狼は立ち止まり迫ってくる巨人を見据えている。
好機と見たゴーレムは今にも狼を踏み潰さんとする。
しかしあと一歩というところまで近づいたときゴーレムの足元から黒い柱が何本も伸び、足から肩や腹にかけて串刺しにしゴーレムは動けなくなった。
「雑魚か……」
ゴーレムの足下には一人の青年がいた。服装、頭髪、瞳、腰に差している刀まで何もかもが真っ黒の青年が立っていた。
青年はゆっくりと右手を上げる。すると人差し指の指輪が黒く光り始め――
「……眠れ」
パチン、と指を鳴らすと、音とともに放たれた黒い光にゴーレム飲み込まれた。
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