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「私は結婚したくない。結婚すれば私はあちらの屋敷に住むことになるだろう」
「ローダ様…」
「私はこの屋敷を離れたくない。ここには母様と父様がいる。キセナがいる。使用人がいる。ここには…たくさんの思い出がある」
「ローダ様…」
「キセナ、お前はどう思う?」
「ローダ様…私は…あなたと一緒にいたい…この屋敷で」
「キセナ……わかった」
「ローダ様?」
「結婚の申し出は断ることにする。私はもう少しの間、ここにいたい」
そう言うとローダ様は笑った
ああ、やはりあなたの笑顔は美しい
できることなら、ずっと、その笑顔を眺めていたい
でもその願いを神様は、叶えるどころか壊した
私の願いだけではなく、あろうことかローダ様の願いまで
そして、ついに、私に永遠の傷を負わした、私を悪魔に導いたあの日が、やってきた
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