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またあの時の事を思い出していた。いい加減止めようと思ってわいるのだが、いつも心に纏わり付いて放れない。
「はぁ、気晴らしに歩こう」
彼は歩き出そうとしたが始めの一歩が出ずに奇妙な姿で立っていた。
「ん~?あの子、どうしたんだろ」
彼が見ているのは自分と同じぐらいの歳の女の子だった。
その子は胸を両手で押さえ苦しそうにしている。
「大丈夫じゃないみたいだな」
気付くと彼は駆け出していた。近付くと彼女が大丈夫じゃない事がわかった。
俺は駆け寄って行って彼女に
「君大丈夫かい?」
と言った。
彼女の顔が苦悩で歪んだ、そして身体を預けるような形で俺の胸に寄り掛かって来た。
「君!大丈夫か!おいっ!しっかりしろ!」
返事はなかった、しかし息はしている。一応病院に連れて行こうとしたが、彼女が譫言のように
「嫌だ・・・・・・戻りたくない・・・・・・」
と言っている。
仕方がないなと思い、まず休める所を捜し始めた。
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