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「よっと、ほら翼着いたわよ」
「……ハッ!此処は?」
火織に飛んで連れて来られたのは俺が住んでいる町の商店街から少し歩いた所にある会社などのビルが建ち並ぶ地域のとあるビルの前だった。
ちなみに、火織は俺が背中に乗っているのを忘れて、ジェット機くらいの速さなんじゃないかと思うくらいの速さで飛んでくれたので生死をさ迷っていた。
「とりあえず……その顔の傷、治してあげるわ」
火織は申し訳なさそうにそう言うと、右手を俺の頬の近くにもってきて、何やら魔法陣のようなものを出現させた。すると俺の顔の痛みが引いていくのを感じた。
「今のって……?」
「あれはアンタに魔力を送って治癒能力を活性化させたの。まあ、ゲームみたいにすぐ回復はさせれないけどね。さ、中に入りましょ。」
そう言って火織はビルの中に入っていき、俺も追うようにして入っていった。
中に入ると、ゲームに出てくる酒場などではなく、まるで会社や銀行のような企業的な感じを思わせるようなそんな作りになっていた。
「んじゃ、この世界の雨宮 翼を探しましょ。」
火織はそう言った後、カウンターの方に歩いていき、受付の女の人に話しかけていた。
俺はそれを少し離れた所で見ていた。その時俺は何となくポケットからケータイを取り出して時間を確認しようとした。
すると今日は4月3日を示していた。時が戻っていることに疑問を感じ、近くにあったカレンダーで日付を確認したが、やはり4月3日だった。どうりで肌寒いわけだ。
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