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「失礼ですが、お名前は……?」
「黒崎 裕斗。はい、ギルドカード。」
黒崎裕斗と名乗った少年は、受付嬢に金色の名刺より一回り大きいカードを渡した。脇から見てみると、名前と顔写真、さらにデカデカとハンコでAと押されてあった。
「な………、し、しばらくお待ち下さい。」
受付嬢がそう言うと、奥の方へいき、何やら責任者と思われる人と数分ほど話したのち、こっちに戻ってきた。
「先程、支部長と話した結果、雨宮 翼様に登録試験が受けれるようになりました。ですが、先程魔力を調べた結果、魔装を精製するほどの魔力を持っていないため、こちらが武器を用意してそれを使っていただく形となります。では、準備と簡単な説明がありますので、雨宮様は私に着いて来て下さい。」
そう言い終わると、受付嬢は立ち上がり、『関係者以外立入禁止』と書かれた扉の前まで歩いていった。
「ありがとうな黒崎。」
「…礼にはおよばない。それと、俺の名前は裕斗で構わない。」
俺は裕斗に礼を言ってみたが、裕斗はそっけなく返してきた。なんか、クールだな。
「とりあえず、翼!頑張ってね!」
「おう!行ってくるぜ!!」
俺はそう返事して、受付嬢の立っている扉へ歩いていった。
「でも裕斗、何で翼に登録試験を?別に前線じゃなくても……」
「いや、彼は……翼は前線に立ってもらわなければならない。これは、決まっていたことだ。」
「……………?」
裕斗は火織にそう言った。かなり真剣な眼差しをして。
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