目覚めと出発

2/7
290人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ
そこで夢から覚めてしまった。 「…夢オチかよ。」 そう呟きながらベットから起き上がり、さっき見た夢を思い出す。 実は、あの類いの夢は小学二年生の時から毎回見ていた。しかし三年になってから急に見なくなり、今日あの夢を見るまではほとんど忘れていた。 「今はそんなことより学校に行かないと。」 そう呟きながら時計を見ると、時刻は8時30分を示していた。 「チクショー!遅刻じゃないかよ!」 そう叫んでから5分後、必死に身支度を済ませて家から飛び出した。すると、外からは夏独特の暑さとセミの鳴き声が聞こえてきた。 その暑さを我慢して駐輪場に停めてある自転車にまたがり、出発する。 今日は7月20日。世間では夏休みと呼ばれる長期休暇が始まり、普通の学生には最高の日なのである。そのため、我が家では夏休みなので、1週間ほど海外へ旅行をするとぬかしやがった。 俺を抜きにして。 生憎俺の通っている学校の場合は進学校なため夏休みを返上して補習がある。 一応は目覚まし時計をかけていたのだが、一度無意識のうちに止めてしまっていたので鳴らなかった。…完全に俺の責任でしかなかった。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!