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淋しい公園を眺めるのは、彼女の日課になっていた。
毎日来る、あの人の姿を見ると、暖かくて幸せな気持ちになれる。
薔薇の花を一輪手に持ち、あの人を手の中で感じながら、優しげなあの人の表情を見つめる。
これほど幸せなことはなかった。
彼女の部屋から薔薇の花がなくなることはなかった。
ただ広いだけの部屋に、薔薇が溢れかえっている。
ただ、最悪の檻の中でしかなかったその部屋は、彼女にとって、幸福の花園となっていた。
神様…幸せをありがとう。
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