薔薇とあの人

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彼女が彼を待つことを幸福に感じはじめて、何日の時が過ぎただろう。 あの人は相変わらず、あの淋しい公園に通って来る。 あなたと私は運命の糸で繋がれているのね。 見てほしいわ、私の部屋…。 あなたの大好きな薔薇の花で溢れているのよ。 毎日同じような事を、なんどもなんども心の中で彼に語りかけながら、彼女は届かぬ恋を楽しんでいた。 もうすぐあの人が来る時間だわ。 時計の針が昼過ぎを指した辺り、あの人はやってくる。 … ……… …………… 来ない…。 しかし、今日に限って珍しくあの人は公園に現れなかった。
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